しばらく御無沙汰となっていたが、またこのブログを再開したいと思う。
実は、中断の理由は、このブログを1冊の本にまとめていたからで、
ひとつの区切りとして、修正、加筆をして書籍として発刊した。
学生だけなく、若手社会人を含めて多くの人に
メッセージを送ったつもりだ。
著者:近藤 昇 発行:カナリア書房
いくつかのコラムは新たに書き下ろした。 ぜひ、ご一読頂ければと思う。
さて、実は最近、少し落胆したことがある。
2月16日の日経新聞朝刊の記事を見てのことだ。
それは、「学生、安定業種に照準」という見出しが踊った。
来春の採用活動に関する内容だった。
私が再三ブログなどでも発信してきたように、既に日本のどこにも
安定できる場所なんかない。
大人もほとんどの人が知っている事実だ。
なのに、学生には伝わらない。
そして、学生はますます安定志向。
あるはずもない、絶対に潰れない会社を探し求めていく。
この記事は、中小企業にも触れていて、
大不況下の中、大企業枠から溢れた優秀な人材を獲得できる
千載一遇のチャンスと思いきや、学生は見向きもしないとある。
悲しい限りである。
まあ、そうはいっても、私の本音で言えは想定内のことでもある。
今の若者と話していると、就職云々の前に、生活環境、競争、衛生面など
何から何まで、温室の中で育ってきたことがよくわかる。
いきなり寒い外気に触れたら、ひとたまりもないだろう。
そういう意味では、まず温室の大企業で体慣らしと思えばそれは理解できなくもないか。
そんなことを考えていて、ふと、ある大企業の部長が漏らした一言を思い出した。
“私は、安定志向になる気持ちはわかるな・・・。”
その時は、深くは考えず、会話はさらっと流れたが、このことが妙に頭に残っている。
今までこのブログは主に学生や社会に入りたての若者に焦点を当ててきたが、
今後は、現役組にもフォーカスしていこうと思う。
仕事がら、現役サラリーマンにもよく遭遇するが、
この中にも、私の目線から見たら、平和ボケ日本のような人が幾らでもいる。
温室育ちのサラリーマンがゴロゴロいるのだ。
私は、おおまかに働く人を4つに分類して考えている。
1つは、仕事もバリバリこなしながら社会に関心が向いている人。
今、日本が抱えている問題は実に多い。
自分の今の仕事とは全く関係なくても、日本の将来を憂えて、
アジアや世界にも関心の目を向け、何か行動を起こす人も日増しに増えている。
こういう人がもっと増えるべきだと思う。
2つ目は、社会のことに関心が向いてはいるが、その前に、
自分の仕事で精一杯、あるいは、社会の問題に対して、
どう行動するかがわからない人たち。
この層は、努力することは必要だが、
社会に関心を寄せている分、可能性を秘めている。
3つ目は、日本ですら働くことに精いっぱいの層。
目の前のことのみを考えざるを得ない層。
そして、4つ目が仕事もバリバリこなし、生活レベルもそこそこ。
しかし、全くといってよいほど、社会の問題、日本の将来について関心のない人。
私は、この部類の人たちこそ平和ボケ日本の象徴ではないかと思う。
もちろん、意図して、あるいは悪気があってそうなっている訳ではないだろう。
それぞれに事情がある。
専門スキルを高めるために、特定の範囲しか関心がなく、
社会の情報には全く疎くなってしまった人。
自分の会社に適応するための筋肉は強化されているが、
それ以外の筋肉が退化してしまった人。
会社の力が自分の力と思って、いまだに威張っている大企業の人。
確かに考えてみれば、高度成長期を含めて自分の会社のことだけ知っていれば、十分やってこれた時代が随分続いてきた。
社会が右肩上がりであれば、それで十分だし、
社会のことを必要以上に知ることは、余計な仕事、余計なことだった。
しかし、時代は変わったのだ。
将来に不安のなかった日本はもうとっくに過去のものだ。
なのに、こんな今でも滅私奉公まではいかなくても、
いまだに、社会に関心をもたず、自分の会社だけを見て働いている人は結構多い。
まさしく温室の中なのである。
世界に名だたる大企業でも
世界不況の大波に飲み込まれれば、あっという間に消滅する時代だ。
少なくも企業の生き残りのためのリストラをタブーとしている会社はないだろう。
日本でも、松下グループを最後にそういう神話は崩れ去っている。
大企業という大きな温室の中にいれば、外界とのギッャプは相当なものだ。
例えば、リストラなどの憂き目に遭い、
ひとたび、外気に触れたらひとたまりもないだろう。
私もこの年になると、大企業の幹部クラスの友人・知人も増えてきた。
彼らと話していると実に面白い。
それは、私とは違う立場の働き方が、彼らを通して何パターンも経験できるからだ。
私の知らない社会を身近な友人知人に聞くと、
やはり刺激になるし、考えさせられる。
日本の現実が多面的に疑似体験できるのである。
これからはそんなところからの視点も織り交ぜながら、
このブログを続けていこうと思う。
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