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中小企業の納期と大企業の納期

日本に限らず、一般的な経済活動の世界では、
最上位階層の大企業群の下に、中堅企業、中小企業、零細企業と
仕事の委託関係のヒエラルキーが存在する。

おおむね大企業から下位の中堅・中小郡の企業に対して、仕事が発注される。

いわゆる元請け・下請けの関係がそこに生じるのである。実際の仕事の発注形式は、必ずしも単純ではなく、
また、中小企業自らが直接的に顧客から仕事を請ける場合もある。

しかし今回は話を単純化して、大企業から中小企業に委託される
仕事のケースのみに焦点を当てて話を進める。

実際のところ、B To B型の90%以上の中小企業は
この構図に当てはまっているだろう。

本題に入るが、仕事には納期がつきものだ。

言い換えると、納期のない仕事が顧客から発注されることはまずない。
仕事の責任者は、基本的には綿密なプロジェクト計画を立案し、
日々の進行チェック、成果物の確認など諸々をマネジメントしながら、
仕事を遂行する訳である。

ところが、悲しいかなどんな仕事も、常に納期に追いまくられる。

この原因は、挙げればきりがなくある。

最大の原因の一つは、事前の計画の見立てが甘いことが原因だろう。

しかしながら、そもそも、人間が計画通り仕事を進めることは、
実は大変困難なことであることも忘れてはいけない。

では、逼迫してきた仕事のその結果どうなるか?

お客様は、そうそう簡単に納期を延ばしてはくれない。

例えば、飲食店を開店するために、
店舗の設計・建築をすべて請け負った仕事があるとする。

納期を延ばすということはお客様側の視点に立てば、損害にあたる。

予定通りに店がオープンできない損害は甚大である。

そんな訳で、大抵の場合、突貫工事に突入する。

最近、納期のことを、英語のデッドラインと表現することが多くなった。

感覚的には、納期と一緒だが、横文字を使うと何やら格好が良い。

私は、いかにも大企業的仕事感がにじみ出ていると思う。

納期と表現したほうが、日本人には泥臭くて現場感がある。

さて、話を元に戻すが、納期がタイトになったとき、
大企業と中小企業の現場では、どんなやりとりがなされるか?

そもそも、仕事の内容や形態にはよるが、
大企業が請け負うのは、おおむね仕事の上流工程と
出来上がったものの品質検査、納品前検査だ。

つまり、最終工程だ。

実際に、汗をかいて、現場で仕事をしたり、物を作るのは中小企業だ。

どんな仕事でも、言うまでもなく、上流から工程が進んでいく。

納期がタイトになる原因を作るのも大企業側が多いし、
納期がタイトになった時、無理な要求をしてくるのも大企業だ。

10年ほど前、取引先の大企業のヤリ手の部長からこんな話を聞いたことがある。

“近藤さん、大企業は今日の仕事は明日に延ばせる。

一方、中小企業は今日の仕事は今日に終わらないといけない。

仕事がもらえなくなるから・・・“

なるほど。中小企業の現実をよくご存知だ。

この方は、大企業の幹部でありながら、中小企業の視点も持ち合わせた優秀な方だが、
実際は、大企業の人はこんな人ばかりではない。

意味もなく偉ぶる人もいれば、自分の仕事の結果を出すためだけに、
ここぞとばかりに、下請けいじめにのめり込む発注責任者はゴロゴロいる。

もっと酷いケースだと、日ごろのストレス発散の
はけ口にするようなとんでもない輩もいる。

ついでに書くと、役所の人にも結構こういタイプが多い。

大企業の役割も中小企業の役割もひとつの仕事をやり遂げるためには、両方必要だ。

そこで働く人の役割もしかり。

どちらが偉いとか偉くないという話でもない。

しかし、私の経験上、中小企業で働く方が、経済活動の現場を体験することが
できるし、なによりもタフな仕事環境で鍛えられる。

当社は、創業時から中小企業の立場でありながら、
直接の顧客を開拓して食べていくことを追及してきた。

この活動が最近本格的に実りを迎えつつある。

私たちから見たら、これからの厳しい時代、不安定さでは、大企業も中小企業も同じようなもの。

ならば、中小企業の厳しい仕事環境で、仕事スキルを磨いたほうが、よっぽど得だと思うのである。

会社の名前に助けられて仕事するよりも、自分のサシの力で勝負する方が、
よっぽど将来の自分のためになると思うが、皆さん、いかがですか?

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