今更、インターネットの起源について説明する必要もないだろうが、
若い頃、ITエンジニアとして働いていた私は今ほど世の中でインターネットが当たり前になるとは夢にも思っていなかった。建設の仕事をするつもりで、大学を卒業後、建設会社に入社した。
そこで、コンピュータの仕事(今はITと呼ばれているが)に関わることになり、すでに25年近くになる。
ITと自分の関わりが、私の仕事人生にとって何の意味があるのかもわからず、漠然と過ごした20代。
当時は、好きでもないITに関わったことに、なんとなく流れに身を任せていた記憶がある。
31歳で起業した時も、ITで食べていこうと考えていたわけではない。
日々、試行錯誤の中、ガムシャラに突き進んでいる中で見出した中小企業のIT活用支援にひたすら取り組んだ30代。
今になり、ITに関わってきたことが、さまざまな活動で役立っているのは間違いないと確信できるし、必然として関わる必要があったのだと思えるようになった。
大袈裟にいえば、ITのこれから先の課題は、とてつもなく大きい。
大きな試金石を迎えたともいえる。
進化し続けるITの世界に人類がどう適応し、どう生存していくかが問われているのかも知れない。
特にこの10年は、インターネットや携帯電話が日常生活にまで普及した。
世界の至るところで、人々が生活に取り込んでいる。
一般ユーザもITサービスの提供側も、次から次へと登場するテクノロジー、サービスや仕組みに翻弄され続けている10年だといえる。
少し視野を広げて、単純にこの30年を俯瞰してみれば、過渡期だからこその混乱期だと思える。
実際、ビジネスの世界だけで見てもインターネットの急速な普及と、携帯電話やスマートフォンを中心としたネットワーク利用網の広がりや普及のスピードは私の想像を超えている。
世界中のほとんどの国で、すでに携帯電話などが使用でき、リアルタイムにコミュニケーションが可能だ。
特に、田舎の風景の残る新興国で誰もが携帯電話を普通に使っている様子を目の当たりにすると、日本で生活してきた人間にとっては異様な光景に感じる。
そういう現場では、おのずとビジネスの組み立て方も違ってくる。
世の中に自動車という便利な乗り物が登場して、すでに100年以上の歳月が経つ。
聞くところによると、日本でも車が登場した初期の頃はすぐ故障するのが当たり前。
交通ルールもなく、混乱の時期であった。
その後、ルールがある程度定着して、次に必要とされたのはマナーだ。
世の中に新しい仕組みや道具が登場するとき、人間にとってジャストフィットな使い方ができるようになるまでには時間が必要だ。
これはITやイ ンターネットでも同じなのである。
1ヶ月前に、社員に促されてツイッターを始めた。
http://twitter.com/Noboru_Kondoh
噂には聞いていたが、実際に使ってみて率直に、これは使えると実感ができた。
リアルタイムで、しかも実名で思いついたこと、考えていることを発信していく。
もちろん、それを見る側がそれをどう思うか? どう取るか? それぞれ人によるだろう。
自分に代わって誰かがなりすますことがで きる部分などは、やはりインターネットの世界という感はあるが、ツイッターはよりリアルの世界に近づいてきたと実感する。
匿名サイトが世にはびこり、何が常識かわからず、マナーが軽んじられて乱れていた数年間。
発言や情報発信の自由だといっても、匿名を前提での情報交換やコミュニケーションは、まったく人間らしくない。
その後、SNSが登場し、FaceBook、ツイッターあたりになるとようやくまともになったという気はする。
とはいえ、もはやITもインターネットもまったく存在しなかった時代には戻れない。
フェイス・トゥ・フェイスのみの人間関係の世界には戻れないだろう。
繰り返すが、だからこそ新しいツールや仕組みが登場した中で、どう人間が適応し進化していくのかが問われているのである。
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