現代のICTを活用すれば、より快適な在宅勤務が可能となることは
これまでに説明してきた。当社が1993年設立時に行っていた
テレワークに本格的に取り組める時代が到来したのだ。
ここで改めて、オフィス外ワークについて整理するとその形態は、
在宅でのワーク、サテライトオフィスでのワーク、海外も含めた
出張先でのワークの3つの形態を想定している。
ここでは、いま、一番主流の在宅勤務についてあらためて説明する。
在宅勤務を取り入れることによって、地方での仕事、海外との仕事、
子育てや介護が必要で就業に制限のある女性の働く機会を
創出することができる。企業にとっても、就業者にとっても
働き方の選択肢が増え、しかも業務生産性を高められ、
ワークライフバランスの向上にもつながるというメリットがある。
企画、調査、デザイン、システム開発やウェブ制作、マーケティングなど
デスクワークに関わる業務は、ほぼすべてテレワークの導入は可能だ。
業界で考えても、テレワークができない業界というのは考えにくい。
なぜなら、どんな業界にもデスクワークに関する業務が存在するからだ。
総務省の「平成26年度版情報通信白書」によると、企業のインターネット利用は
平成19年には99%に達し、平成25年末では99.9%と、ほぼ全企業で導入されている。
そのうち8割は光回線と高速インターネット環境が整備され、
PC、携帯電話などの社外からの接続環境も過半数の企業で導入されている。
クラウドサービスも33.1%の企業が利用しているという。
企業側のICT環境はかなり充実してきている状況だ。
あとは、テレワーカーの自宅環境さえ整えればよい。
自宅のインターネット環境、PC、ウェブ会議やクラウドサービスなどの
環境が構築できれば、テレワークを開始することができるし、
それにかかるコストもさほど大きなものではない。
同白書によれば、テレワーカーを導入したい理由の1位は
自由な勤務形態がとれること、第2位に通勤時間がなくなること、
第3位に家族(子どもや両親など)の面倒がみれること、
第4位に自宅の方が集中できることと続く。
このことから就業者のテレワークへの期待は非常に大きいといえる。
これが実現できれば、従業員満足度が上がり、仕事の効率も高まる。
その一方で、前述したように自己管理やセキュリティに関する
問題についても、きちんと整備しておく必要がある。
私たちが、ぜひ提案したいのが幹部社員からオフィス外ワークを
実践することである。幹部社員が率先してオフィス外ワークに取り組み、
その姿勢を示す。幹部であれば、自己管理能力やセキュリティ意識も
高いであろう。また、子どもや介護者などを抱えているとすれば、
その問題解決に先鞭をつけられる。テレワークの効果や
課題事項を整理、検討した上で、テレワークの導入に
踏みきってもらいたい。まずは、「隗より始めよ」である。
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(近藤 昇 著 2015年9月30日発刊
『ICTとアナログ力を駆使して中小企業を変革する』
第8章 中小のアナログ力が際立つ時代の到来-会社の幹部がオフィス外ワークでできること より転載)