いまやPC、スマートフォン、タブレット利用は、
ビジネスシーンに限ったことではない。
家庭にも普及しているし、日常生活での
インターネット利用もごく当たり前に行われている。
食事、買い物、観光、旅行の前に、ネットで検索して
情報収集する。
ECサイトを利用すれば、いつでもほしいものを
手に入れることもできる。
銀行に行かずとも、自宅でインターネットバンキング
による振込みをするなど、その用途は実に多岐にわたる。
こういった環境で生まれ育った子供たちは、
小学生の頃から情報通信機器に触れることも珍しくない。
小学生の頃から、ゲーム、YouTubeなどに
慣れ親しんでいる。
大学生ともなれば、社会に出る前からPCを使いこなして
研究をし、論文を作成している。
私がITに関わりはじめた30年前。
コンピュータ操作には、システムの要件定義や設計、
プログラミングやテストなどシステム構築に関する
専門的な経験や知識が必要であった。
一部の情報処理技術者だけがコンピュータに触れていた。
だが今は、誰もが日常生活や学生生活の中で
情報通信機器を扱う。
30年前とはまったく状況が異なる。
PCや情報通信に詳しい人、情報通信機器の
商品知識に長けた人、アプリに詳しい人がいくらでも
身のまわりにいることだろう。
誰もが専門家になりえるし、誰もがユーザーに
なりえる時代なのだ。
自動車と同じように考えればよい。
自動車を製造、販売するメーカーの社員が
自動車に詳しいのは無論のこと、自動車を利用する人、
それ以外にも自動車について詳しい人が数多く存在する。
それと同じようなことがICTの世界でも起こっている。
誰もが専門家、誰もがユーザーの時代になると、
企業のICT活用も右往左往、迷走してしまうのである。
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(近藤 昇 著 2015年9月30日発刊
『ICTとアナログ力を駆使して中小企業を変革する』
第4章 今どきのICT活用の実際-誰もが専門家、誰もがユーザーの時代へ より転載)