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【第4章】専門的すぎる時代から、多すぎて変化しすぎる時代へ


私が、ICTに関わりはじめた30年前。
大型汎用機によるシステム開発が主流だった時代である。
この頃コンピュータに関連する人は、私のようなSE(システムエンジニア)、
PG(プログラマー)など情報処理に関わる一部の技術者だけだった。
システムの要件定義や設計、プログラミングやテスト、
システム構築に関する専門的な経験や知識がなければ
コンピュータを扱うことができなかった。


当社は、中小企業のIT化の失敗に数多く遭遇した。
その頃、IT化の失敗原因がIT担当者であることも少なくなかった。
IT担当者は、IT用語を振りかざし、もっともらしい理屈を並べ立てる。
ITのことがわからない経営者はそれに異を唱えられず、
IT担当者の業務内容も評価できない。
そのことにより、業務はブラックボックス化し、
IT担当者の業務領域が聖域化している企業が実に多かった。


今は、その専門家たるIT担当者ですら、
ついていけない程のスピードでICTが変化し続けている。
開発言語や開発手法、データベース製品、OSのバージョンアップ、
デバイスの多様化、IoT技術の普及、豊富なクラウドサービスなど枚挙に暇がない。
顕著な例が書店のITコーナーだ。
私がITに関わりはじめた頃は、大型書店のITコーナーを探しても
専門書が数冊程度置いているだけであった。
数少ない専門書から必要な情報を得ていた。
ところが今はどうだ。
大型書店に足を運べば、大きくITコーナーが設けられている。
大きなコーナーがあるということは、それだけIT関連の書籍が
売れるということでもある。
ツールの操作テクニックといった指南書が大半である。
それに加えて専門書。IT技術が日進月歩で、
次から次に新しいツールとして世にでる。
山のように並んでいる指南書の中からほしい情報を収集するのは
至難の業である。


世の中にクラウド、ICT活用、セキュリティ対策製品に関する情報が
あふれかえっている。
その中から自社にとってのベストプラクティスを見つけ出す、
目利きするスキルが必要になる。
せいぜい自動車メーカーの数と車種ぐらいに収斂されないと、
目利きも困難な時代である。

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(近藤 昇 著 2015年9月30日発刊
ICTとアナログ力を駆使して中小企業を変革する
 第4章 今どきのICT活用の実際-専門的すぎる時代から、多すぎて変化しすぎる時代へ より転載)