電子メールは便利なツールだ。今では多くの人が使用している。
その便利さから利用者が広がる一方で、基本作法をわきまえない、
無節操な人が以前にも増して目立つ。
子供の頃からインターネットやPCのある生活環境の中で
育ってきたデジタルネイティブ世代に広く普及しているLINE。
その影響からか、若い人の電子メールでのやり取りに多いのが、
件名がない、署名がなく本文でも名乗らないといったものである。
受信者が、誰からの電子メールかわからず困惑している
ということが理解できないのであろう。
当社は設立時にパソコン通信を使用していた。
その後、ロータス社のcc :Mailを導入し、現在は、
IBMのNotes(グループウェア)を使用し続けている。
このような背景から、当社は社内のメール文化の定着は相当早かったし、
その重要性を、他のどこよりも理解していると自負している。
電子メールの使い方といった、企業向け研修も
ずいぶん実践してきたし、関連する書籍も発刊してきた。
当社は、ヒューマンブランドシリーズという企業研修テキストの
書籍シリーズを発刊している。
その中の1冊、『電子メールの基本スキル』(2009年1月・カナリア書房)に、
電子メールの使い方に関するポイントをまとめた。
世の中に電子メールが定着し、日常業務において欠かせないツールになっている。
私も、日常かなりの量の電子メールをやり取りしている。
しかし、電子メールの基本作法がなっていないと実感することは、
『電子メールの基本スキル』を発刊した当時とほとんど変わらない。
例えば、自分に都合の悪いメールを無視したり、
要点が不明な長文をつらつらと書いてくる人もいまだに多い。
メール上で気をつけるべきことはいくつかあるが、
特に気をつけたいことは、自分の都合だけでメールを利用しないことである。
例えば、お詫びや不都合なことをメールのみで済ますという行為である。
可能であれば直接会ってお詫びするなり、状況報告、
事情説明をするべきだ。
直接会うことができないのであれば、電話で相手と直接会話することが
必要である。
それをメールでお詫びしたという既成事実をつくる行為が
自分都合なのであり、相手の心に響くはずがない。
ビジネスパーソンとして、お互い忙しい中で時間を有効に活用し、
齟齬のないようにメールで記録に留めるといった
電子メール本来の目的や有効活用方法がある。
この点を今一度考えてもらいたい。
そして、電子メールの行き着く先は人と人のコミュニケーション
であることを再度認識すべきであろう。
電子メールの使い方にビジネスパーソンとしての
品格があらわれるのである。
話しは変わるが、いまや電子メールのDMが氾濫している。
こんな時代は、FAXでのアナログ的な方法が効果的であったりする。
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(近藤 昇 著 2015年9月30日発刊
『ICTとアナログ力を駆使して中小企業を変革する』
第3章 パソコンもオフィスも不要な時代-電子メール活用は基本作法がもっとも重要 より転載)