来月の上旬には弊社から新たな書籍が刊行される予定です。タイトルは「もし波平が77歳だったら?」。タイトルから想像されるとおり、シニアの方々をテーマに取り上げています。
弊社は創業期より「老若男女・多国籍軍」を標榜してきました。やる気のある方であれば、年齢、性別、国籍問わずに活躍できる土壌をつくってきたつもりです。中国やベトナムの
留学生を数多く受け入れてきましたし、シニアの方々の採用も他社と比べれば積極的に行ってきました。今から15年以上前に、「シニアジョブネット」というシニア専門の求人
サイトをオープンさせたこともあります。
日本は人類が未体験ともいえる本格的な高齢化社会を迎えます。今、私の手元には内閣府が公開している「平成27年版高齢化白書」があります。この中の高齢化の推移と将来推計という
グラフを見ると、日本の未来がおぼろげに見えてくるのです。2015年現在、75歳以上の人口は1640万人強であるのに対し、2050年にはその数字が2300万人を優に超えると予測されている
のです。当然、15~64歳までのいわゆる労働者人口は7600万人強から約5000万人強へと激減します。人口減少がことさら強調されて語られるケースが多い昨今ですが、実はより重要
なのは、人口における年代別の内訳が大きく変化することにあると思っています。つまり、約30年後は人口の約4分の1を75歳以上の方々が占める社会へと変貌しているのです。
国民的アニメとして誰もが知っている「サザエさん」に登場する波平さんは、作品における設定で54歳でした。当時の日本人の平均寿命や定年制度を勘案すると定年間際の勤め人というイメージです。しかし、現代におきかえるとどうでしょうか? 私の年齢が53歳。とても、波平さんのイメージとは自らの感覚でも程遠いものがあります。
これからの日本は、相対的な感覚でシニアを一括りにして語る時代は終焉を迎えると思っています。「人生50年~」という句を詠んでこの世を去ったのは織田信長ですが、現代で言えば、人生は80年時代を迎えており、今後、90年時代、そして100年時代に突入することも想像の範囲内に入ってきています。そのような時代において、昔と同じようなシニア論をふりかざしても、それこそ「変化への適用」が抜け落ちています。
『シニアが主役の社会をつくる』
私たちが本書で皆さんに送りたいメッセージはそこにあります。そのためには、現代の利器とも言えるICTを上手に活用できる仕組みづくりが必要でしょうし、シニアの方々の固定概念を転換してもらう必要もあります。日本が向かう『75歳現役社会』を実現していくためには、超えなければならないハードルも多いでしょう。だからこそ、私たちがそこをお手伝いできるのではないか。筆を進めるうちに、その決意は強固なものになっていったのです。
最前線で活躍しているシニアの方々は本当に元気で前向きです。今の日本に最も大切なことはこの「元気で前向き」ということほど大切なことはないでしょう。
ぜひ、本書もご一読ください。読後に「元気で前向き」になれる1冊であることは間違いありません。