ビジネスにも有益なクラウドが広がり、
ストレージサービスなど個人での利用も
普通のことになっています。一方、自分の情報がクラウド上に
いつのまにか保管されていることに
無自覚な人も多いのではないでしょうか。
クラウドは、セキュリティ上、安心といえるのでしょうか。
目に見えない情報を守るというのは大変骨が折れるものです。
パソコンに保存していても、
パソコンがマルウェアに感染して情報が流出したり、
パソコンそのものが壊れて(もしバックアップを取っていなければ)
二度とその情報が取り出せなくなったりもします。
最近では、ランサムウェアというPCのデータを暗号化してしまい、
データを復旧のための金銭を要求するようなものもあります。
クラウドが安全かを議論するには、
自分のパソコン、自社のサーバが安全かを比較検討する必要があります。
クラウドの安全性を述べるときによくある議論として、
たんす預金か、銀行に預けるのかどちらが安全かという比較検証がされます。
例えば、1千万円単位の金を持っていたときに、
どちらが安全なんでしょうか。
たんすのほうが絶対安全という人はほとんどいないでしょう。
だから、自分のパソコンより、クラウドのほうが安全、
とは短絡的にはなりません。
ひとつは、クラウド事業者は、いまや、地方銀行、信用金庫など
をあわせた金融機関以上の数になっています。
その一つ一つの事業者は、社歴が浅い会社も多く、
また、従業員数数名というところもあるわけです。
つまり、銀行という、社会において長きに渡って
信頼されつづけてきた機関と、
クラウドという、言葉自体がでてきて10年も
たたないような業界とをまるっきり一緒にはできない
というわけです。
一つの例が2012年6月におきた
大手クラウドサービス事業者による
データ消失事件です。
クラウド上のデータが消失してしまい、
最終的に復旧できなかったデータがありました。
原因は、人為的なものであり、
100%大丈夫ということがないという証明を
はからずもしてしまった事例です。
人がやることですからミスはあります。
おそらく、大手銀行でも人為的なミスというのは
発生しているでしょう。
しかし、多くのチェック体制により、
ミスをリカバリーするようになっていることと、
さらに、銀行とクラウドの決定的な違いは、
預けているものがお金か、データかという違いです。
お金は、損害賠償など、別のお金で代替することが可能です。
データはなくなってしまえば、損害賠償などで償われても、
データ自体は戻ってきません。
いまや、銀行もICTで動いています。
銀行も、お金が盗まれるリスクよりも、
データが消失するリスクのほうが大きくなっています。
銀行の取引データがなくなって、
今の預金残高がいくらかわからなくなった、
などということになれば、
社会的な影響はとんでもないことになります。
クラウドは便利であり、セキュリティ上も、自分自身で管理するよりも
強固なケースが多いでしょう。
しかし、提供している事業者も様々ですし、
リスクもあるわけです。
よく選別、吟味して、かつ自己責任で利用することが必要で、
クラウドを完全には信用せずに、
自分の手元にバックアップをとっておいておくという、
クラウド利用しつつ、最後はタンスに保管でリスク管理です。
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