今回は、投資局のトップに招待されて訪問したが、現地の方々から受けた歓待は当面忘れることができないほど強烈だった。
私のビジネス人生を思い返しても、これほどまでお酒を飲んだ経験はほとんどない。
もともと、今回の訪問の二ヶ月ほど前に、この方をホーチミンで食事に招待したことが一連の出来事の始まりだ。
ホーチミンの代表的な寿司の店“スシバー”で日本酒の飲み比べをしたのだ。
このときのお礼(お返し)で氏の地元コントム省に招待していただいた。
普段、ホーチミンからコントム省には直行するのだが、急用もあり、空路一度ハノイに飛び、そこから早朝にコントム省へ。
現在、進めている農業ビジネスのさらなる調査、情報収集も兼ねての再訪となった。
ベトナムは常に暑く、早速、昼からビールで乾杯。
何箇所かの視察を経て、夕方5時ぐらいから早々と晩餐が始まった。
メインディッシュはスッポン(ベトナムではバーバーという)。
から揚げ、鍋、定番の生血。まさしくスッポンづくしだった。
すでに何度か食したことはあったが、精力増強剤としてもベトナムで有名である。
その後、2次会では、朝鮮人参入りの焼酎(正確には、このコントム省でのみ採れる朝鮮人参のようなもの)と、ハイネケンで夜中まで。
意識が朦朧とするなか、床を見れば、空き缶が100本近く。
実質、氏と私と部下の中島の3人で飲んだので、我ながら驚いた。
翌日は、早朝から、朝鮮人参の販売会社の社長の店を訪問。
なんと想定外に、ここでも、いきなり焼酎で乾杯。
少し、市内観光した後、10時半ぐらいから焼肉パーティの開始。
実は、この場にも昨晩の焼酎が待ちこまれていた。
地元の名士が続々と登場し、一気飲みと乾杯の繰り返し・・。
さすがに、もう、あかん。という一歩前で、場はお開きに。
一路、空港へ。これで一安心と思いきや、氏が突如、今度はカラオケに行こうと。
少しだけ立ち寄り、結局、時間の関係上、すぐに空港へ向かった。
結局、この日も、一日中お酒の日であった。
ホーチミンに戻った後、ふと、当社が創業して間もない10年以上前のことを思い出した。
韓国と日本のベンチャーマッチングを手がけていて、韓国を訪問していた時のことである。
あるパートナーとのシビアな打合せを翌日に控え、やや緊張モードで前夜の飲み会へ行くと予想に反して、超フレンドリー。
このときの社長は、開口一番、まずは、飲むこと。親しくなること。
私は、まだまだ経営者として、駆け出しの頃。
本格的なトップ同士でのアジア企業とのやりとりは、不慣れであったため、韓国人経営者のこういうスタンスに驚いたものだ。
日本とは随分違うものだと・・。
今回も、コントム省の氏はじめ地元の名士の方々は、全く同じことを話された。
まずは、お互いの信頼関係を構築すること。
これができれば、ビジネスはほとんどうまくいくと。
それにしても、事前に心と体調の準備をしていなかったこともあり、今振り返っても、本当に過酷な出張だった。
もちろん、酒だけがビジネスの信頼関係構築の唯一の方法ではない。
他にも趣味やスポーツもあるだろう。ベトナムであれば、テニスも結構良い。
しかし、アジアのどこへ行ってもビジネスの基本は同じ。
まずは、お互いに腹を割って、仕事を飛び越えての信頼関係を築く。
そして、後は、少々の価値観の違い、ビジネススタイルの違いを埋めながら前進する。
実際、日本国内でのビジネスより異国の地アジアでのビジネスの方が難しい。
だからこそ、よりどころとなるのは、人と人の信頼関係。
しかも、それはビジネスを超えた付き合いができるかどうか。
このあたりは、先進国であろうとなかろうと、できるビジネスパーソンは皆、本能的に知っているのだろう。
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