最近のように、新聞、雑誌などベトナム経済情報やメコンエリアの情報があふれ返っていると、実に昔が懐かしく思える。
数年前でも、ベトナムで事業をやっていることなど、中々人に話せたものでなかった。
銀行関係者はいうまでもなく、株主の方々にもベトナムの話は、オブラートに包んでいたものだ。
未知の世界だけに、超リスクな事業活動との先入観を持たれてしまうからだ。
ベトナムを未知でリスキーな国だと思っている人は、まだまだ沢山いるだろう。
人間とは、恐ろしいものだ。
大なり小なり、固定観念というものが何かにつけてついてまわる。
特に、アジアビシネスにおいては、顕著である。
ベトナムに関心を持つ人の多くの人が言う。
“ベトナムでビジネスって本当?信じられない”
“ビルが建っているの?”
“まだ、地雷が残っているんじゃない?”
他にも、誤解を含んだ質問は山のようにある。
どこかで刷り込まれた固定観念に支配されたままなのだ。
もっとも、ベトナムに関心がなければ、仕方ないのだが・・。
経験上、一番多いのが、ベトナム人の人柄に対する思い込みだ。
私たちには、こんな質問が多く投げかけられる。
“ベトナム人は中国人より良いんでしょ。
ベトナム人のほうが親日的で・・”
これは間違ってはいないが、必ずしも正しくはない。
また「日本人と比べると、アジアの人たちは信用できない」と語る人も多い。
特に、日本人は中国人に騙されるから気をつけなさいと。
ベトナムも社会主義国だから、中国と似たようなもの・・。
こんな考えを持っている人は実に多い。
確かに、平均的な日本人に比べたら信用できない人は多いだろう。
だからといって、その国の人間が全員信用できないというのは寂しい話だと私は思う。
どこの国の人かに関わらず、根っこは人間、皆一緒。
私は、こんな感じでアジアでも人付き合いをしている。
先週1週間、ベトナムで活動していたのだが、粋なベトナム人3人との出来事が強く印象に残ったので、紹介したい。
1人目は、当社でオープンしたゴルフショップのオープニングセレモニーにて。
親しくしているIT系のベトナム人社長のF氏にも出席していただき、そこでの彼の粋な行動に感銘を受けた。
お店のお披露目だったのだが、ショップで買い物をして帰られたのだ。
こんなお付き合い、気配りができる人なんだと、嬉しい気分になった。
今時の日本人が失いかけていることではないだろうか。
2人目は、私の元部下であるベトナム人女性。
今回、少しわけあって、ハノイで半日通訳を頼んだ。
元々、この件をお願いしたときから、無料で対応しますと快い返事。
ただ、さすがに申し訳ないので、お礼の意味で帰り際に、僅かだが「新婚旅行用に」と餞別を渡そうとしたのだが、最後まで受け取らなかった。
近藤さんにお会いできたので、それだけで十分ですと。
この一言に、日本人に通ずる奥ゆかしさを感じた。
最後の1人は、私が数年にわたって親しくさせていただいてるベトナム人社長の話。
成長著しいベトナムでトップを走る企業のNO2。
ハノイで自社が運営する工業団地の視察や現地の名所案内、夕食、ノイバイ空港までの見送りまで・・。
至れりつくせりで、ハノイ近郊を案内していただいた。
既に親しい間柄とはいえ、レベルの高い日本人に負けず劣らずのおもてなしを受けたのだ。
この1週間のなかで「今の日本人より対人対応力に長けた人はいるんだ」と新たな発見があり、すがすがしい気分で帰路に着いた。
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