当社は創業時から、中国、韓国、台湾などでビジネスにトライし、
今はベトナムを中心としたメコンエリアで、日々変わりゆく
アジアの息吹を感じながら、ビジネス活動をしている。
そのため、現地で活動する者としては、メディアからあふれ出てくる
アジアビジネスの情報をついつい懐疑的に捉えてしまう傾向がある。
もちろん、アジアが世界から注目されているのは嬉しい限りだが・・・
私なりにざっくりまとめさせていただくと「世界不況のなか次の可能性を探ると、
誰もがアジアにしか見つけることができなかった・・・」という感じではないかろうか。
特に、今年は、大企業のアジア進出ネタが尽きることはなかった。
来年からは、もっと、動きが早まるだろう。
言うまでもなく、縮小し続ける日本のマーケットにおいては、
大企業の行く末さえ暗いものになるのは間違いない。
そこで、最後に残されたマーケットである「アジアに出る」という構図ができ上がる。
しかし、中小企業目線に限定していうと、
今すぐアジアでビジネスをスタート
させなければならない理由はどこにもない。
ある意味では、20年ぐらい前からとっくに始まっていたといえるし、
一方では、まだまだ可能性に溢れているともいえる。
今でもいいが、今でないといけない理由もないのが現実である。
ただ、先に向けての準備は少しでも始めるに越したことはない。
アジアビジネスにおけるチャンスは、10年、20年、
もっといえば、30年先ぐらいまで、何回でも訪れるだろう。
国が発展するのは、やはりそれだけ時間はかかる。
アジア全体を制覇するなら別だが、
中小企業のビジネスの世界で考えれば、
チャンスは宝の山のように存在するのだ。
ワクワクするビジネスのネタ、
社会貢献のネタなどいくらでも見つかる。
まさしく「日本人もアジアを歩けば、ネタは見つかる」である。
今年最後のブログになるので、私がアジアで見つけたとっておきのネタを
1つ紹介し、来年の抱負にしたいと思う。
来年の私のテーマのひとつに農業がある。
書籍も、年明け早々に発刊する予定で、現在、執筆中である。
詳細は年明けにお伝えするとして、
今日は取り組みの概要を紹介したいと思う。
そこに至る動機はいたってシンプルだ。
私は高校時代まで、農家で育ち、生活していた。
昔は、稲作、今はサツマイモを栽培している。
その関係で、昨今の農業の再生議論には関心が強い。
ただ、どうも現実性に欠ける部分が多いと感じる。
端的にいえば「限りなく労働集約型である農作業を誰がするのか」ということに尽きる。
日本の若者がこれを担うなど、もはや考えられないし、
かといって、アジアの低賃金の労働力を頼りにするのは、あまりにも虫がよすぎる。
そこでアジアと日本の連携が鍵になると考えている。
しかし、無理やりアジアと農業を結び付けようという話ではない。
すでに多くの実例もあり、農業分野で日本との連携を期待する
アジア各国の政府、経済の関係者は多いのだ。
先月、訪問したベトナム中部のコントム省で
不思議な縁に巡り合った。
コーヒー園や野菜畑、フルーツ栽培の様子など
一通りの見学を終えて、
ある村の村長に挨拶に行き、そこでおやつを
御馳走になったのだが、
なんと、それは、サツマイモだった。
話を聞けば、数年前にコントム省を訪れた日本人が
サツマイモを持ち込んだという。
上に上がいるものだ・・・。
味は日本のものに比べるとまだまだだが、
見た目や形は、そっくりであった。
現地の人々が期待するのは、日本の品質管理、
肥料などはもちろんだが、一番は種である。
日本は、長年にわたって品種改良に注力してきた。
製造メーカーの高い品質は、
世界に通用するレベルであり、広く知られている。
農業における種の質もまた、日本のものはレベルが高い。
農業ビジネスでいきなり儲かることはないだろうが、
これらの国では最重要産業のひとつであることは、
将来も変わらないだろう。
やはり日本の農業の課題を解決する手掛かりはアジアにあるように思う。
話は変わるが、この視察のとき、
コントム省は自然災害に見舞われていた。
大規模な台風が1ヶ月前に直撃し、
川から溢れる洪水で田畑は流され、
山道のいたる所で崖崩れが発生していた。
改めて、農業が自然と密接に関っていることを認識させられた出来事だった。
10年後、20年後に、この地で、
日本人がサポートして栽培した野菜などが、
日本やアジアの各国で消費される日を想像すると、今から待ち遠しくて仕方がない。
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