今年は、日本にとって昨年に増して景気が厳しくなりそうだとの声が多い。
大方のメディア、評論家の見方はそれぞれだが、私の現状認識としては基本的に同じ考えだ。
だが、少し見方を変えると、皆がわるいというときこそ、逆にチャンス到来であり、大いに楽しみな一年が始まったともいえる。
さて、このブログのメインのテーマであるアジアは、今年はどのように展開するだろう。
日本はアジアで存在感を示し、アジアの国々との共存・共栄のビジネス活動の礎を築けるだろうか?
日本が暗闇のトンネルを抜けるための唯一の道は、アジアに進出することに間違いない。
だからこそ忘れてはならないのは、この宝の山“アジア”は、世界中が狙っているということだ。
すなわち、日本にとって非常に厳しい競争が待ち受けているということに他ならない。
では、どうやってこの難局に立ち向かっていけばいいのだろうか?
大勢のライバルがいようとも日本人は、ひるむ必要は全くない。
今年一番重要なことは、日本人が自信をもっと持つことだと私は思う。
そのためにも、まずは、日本人自身が日本のこと、日本人のことをよく知ることが必要だ。
実は、日本人は、自分のことをあまり分かっていない。
日本国内のことはある程度わかっていても、それが世界の中でどうなのかと問われると、大きくズレていることが多い。
これでは平和ボケ日本と言われても仕方ない。
いい面、わるい面、両方で正しく認識することが大切だ。
とりわけ、日本人は、謙虚で信用できると世界でも評価されている民族だ。
これは強みと言えるが、下手をすると謙虚過ぎるがゆえ自信喪失にもつながりやすい。
ここに英語力の無さが重なると、なおさらだ。
また、韓国や中国などの近隣国と比べても、相対的にアピール下手といわれ、相手に何を考えているかが伝わりにくい。
このあたりは、日本人が意識的に変えないといけないだろう。
アジアや世界でビジスネスに精を出す人、バックパッカーであちこち冒険する人は、口を揃えて皆同じようなことをいう。
「日本を出てみて、日本の良さが改めて分かった」。
「日本人であることが誇りに思えてきた」。
「日本をもっと大切にしないといけないと思うようになった」。
ある意味、良くも悪くも、日本のような恵まれた国だけで生活していると完全にセンサーが鈍ってしまう。
日本のことを、よく知るためには、日本の外に出ることが大事だ。
そして、それぞれの国でどういう人達が、どういう暮らしをして働いているかを肌で感じることが第一歩になる。
そういう私も、そんな偉そうなことをいえたものでもない。
アジアへ行くと、その都度日本のよさを発見でき、新鮮さに刺激を受ける。
まだまだ、日本のことで知らないことはたくさんある。
そんな私が、昨年、あることを実感させられた。
「やはり東京はすごい場所なんだ」と。
アジアの主要都市と日本を行き来しているとだんだとその思いが増してくる。
昨年の10月に、世界都市ランキングのニュースを見ても、さらに実感が増した。
森記念財団の都市戦略研究所が発表した”世界の都市総合力ランキング”で、世界主要35都市のうち東京は4位となった。
1位はニューヨーク、2位はロンドン、3位はパリである。
東京が1位でないのは日本人としてはやや残念だが、分野別のランキングを見ると、経済部門では2位で、環境部門では4位であった。
東京は、ビジネスするにも、やっぱり凄い場所なのだ。
ちなみに、同研究所は”東京は世界に比類のない経済と環境の双方を両立する唯一の都市”と称している。
こういうニュースは、なんとなく嬉しくなるものだ。
アジアは大きな将来性を有しており、数多くのポテンシャルをもった都市がいくつも存在する。
例えば、高層ビルの数、地下鉄の総延長距離などですでに東京を上回る上海、あと数年もすれば、人口1000万人を超えるといわれている若者の活気で賑わうホーチミンなど、魅力的な都市だらけだ。
ただし、これらの場所はリスクも大きい。
一方、東京は、将来性はないかもしれないが、既に世界が認める有数の都市。
アジアに比べるとリスクは小さい。
中小企業にとって、日本の中枢を知らずに、いきなりアジアに出ることは危険だ。
やはり、日本のビジネスの中心は、東京である。
スピードも早く膨大な情報が集積されている。もちろん、その分ライバルも多いのだが。
ここを体験し、ここで勝負してから、アジアで勝負する。これがベストだと思う。
少なくとも、実際にはビジネスをしなくても、比較対照の尺度として正しく理解しておきたいものだ。
例えば、前述のホーチミン、上海、東京を並べて観察するだけで、実にさまざまなビジネスチャンスやリスクが見えてくるのである。
もちろん、大阪、名古屋なども立派な都市だとは思う。
商売も、もちろん簡単ではない。
しかし、アジアの伸びゆく大都市で勝負したいなら東京という都市は知っておくべきだ。
なによりも、アジアでビジネスを展開する際に、日本人として自信が付く事は間違いがない。
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