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日本のお菓子文化はアジアに浸透する


海外に出ていると日本の良さや魅力に
改めて気づくことが多々ある。
灯台下暗しとはよく言うが、
大半を日本の中で暮らしていると、
世界から見た日本の魅力や優れた部分に
気づかないことが多い。
今から2年ほど前に、ベトナム人の友人ミンさんと
ビジネスネタについて、意見交換していた時のこと。
私は日本のお菓子文化の魅力に気づかされたのである。
彼は日本に数年住んだ経験があった。
米国に住んだ経験もある。
自国のベトナムだけでなく、
先進国の米国との比較を含めて、
日本の素晴らしさを語ってくれた。
日本に長期滞在する外国人は
日本の良さをよく知っている。
全国都道府県をすべて訪問したという、
つわものの中国人の友人もいた。
日本人でもなかなか珍しい。
51歳の私でもいまだに訪問したことがない県が
いくつか残っている。

ベトナム人の彼も日本の地方への旅行が
特に好きだったという。
そんな彼が昔を思い出し、日本の地方で売られていた
お菓子のお土産の素晴らしさに驚いたという。
日本人はたまの地方出張でお土産をどうしようかと
考えることはあるが、今更、駅構内の賑やかな
おみやげコーナーを見ても特段驚くことはほとんどない。
彼にそう言われて、改めてその素晴らしさに気づく。
確かに私たちが子供の時代は今のような
美味しいお菓子が当たり前のようにあったわけではない。

駄菓子屋が全盛の時代を思い出してみる。
子供心にあの時はワクワクしたのを今でも鮮明に覚えている。
だが、よくよく考えてみるとお菓子の質は良くなかった。
飴を舐めると舌が黄色やオレンジ色に染まった。
甘いお菓子といえば砂糖の塊のようだった。
あの時代から比べたら、
日本のお菓子はなんと進化したことか。

一方、今のベトナムはどうか。
彼が言うようにベトナムどこへ行っても
似た様なお菓子ばかりだ。
ベトナムらしいといえばそうなのだが、
どこの地方に行ってもほぼ同じ。
きっと日本の昔とそっくりなんだと思う。
彼曰く、日本はお菓子の味やデザインもそうだが
ブランド戦略的にも相当進化していると。
彼のおかげで日本のお菓子に関心を持つようになり、
お菓子産業の専門分野の方々からいろいろ話を聞いた。
国が豊かになる過程で、改善が進むのはまずは主食。
今の日本において、これほどお菓子が充実しているのは
食生活が豊かな証拠。
ある意味、贅沢な食べ物である。
同時に、長年地方における差別化戦略に取り組んできた
関係者の苦労や努力も垣間見ることができた。
地方は地元の食材を活かしてお菓子を創意工夫する。
地域活性化が叫ばれる中、
お菓子はブランド食品開発の代表選手にもなっている。

経済産業省のクールジャパンがきっかけで始まった
日本物産館。
徳島の経営者と交流している中で、
ご縁があって老舗お菓子メーカーの社長に出会った。
徳島のトップランナーである市岡製菓社だ。
単に日本からお菓子を持ち込んで売るのでは味気ない。
お菓子の文化やノウハウを伝授して、
ベトナム現地に貢献できるのだったら一緒にやろうと
意気投合した。
お菓子に限らず、当社のアジア進出の考えの
基本スタンスとも一致した。
話はトントン拍子に進み、今はホーチミンの
富裕層の住む新興都市・フーミーフンで、
たい焼きを現地生産・現地販売している。

第一ステージは既に始まった。
少しずつ時間をかけて、
ベトナム人の仲間と出会いながら、
縁があった地方におみやげのお菓子作りを
伝えていく考えだ。
ぜひ、日本の地方の皆さん、
一緒にお菓子文化をアジアへ拡げていきましょう。

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