IT業界にも30年近く身を置いてきた私の独断と偏見では、
数年ぐらいに1度のトレンドで注目されていると思っている。
シリコンバレーといえば、ITベンチャーが結集し、
世界的な企業が誕生することで有名だ。
最近では、安倍首相がシリコンバレーへの中小企業の進出支援を
国が後押しすることを発表していた。
昨年、念願かなって初めて訪れたが、やはり、特別な場所だった。シリコンバレーでの今の起業のスタイルは“リーンスタートアップ”が
トレンドだ。
例えば、「リーンスタートアップ」(日経BP社刊)は参考になる。
この書籍の中のスタートアップの定義があらためて勉強になるのだ。
引用させていただく。
「スタートアップとは、とてつもなく不確実な状態で新しい製品や
サービスを作り出さなければならない人的組織である」
実は、トヨタのリーン生産方式の考え方から生まれたのが、
リーンスタートアップだとも述べられている。
それよりも、ネットで検索した次の説明がすんなりと腑に落ちる。
「米シリコンバレー発の起業の新しい手法“リーンスタートアップ”が
注目されている。コストをあまりかけずに最低限の製品やサービス、
試作品を作って顧客の反応を見る。このサイクルを繰り返すことで、
起業や新規事業の成功率が飛躍的に高まる」
※引用:NEVERまとめサイト
まさに、今のアジアビジネスの創造にピッタリではないか。
当社がビジネス活動する場所、アジアは、シリコンバレーのような
ITベンチャーが活躍する場ではないし、そういう時代でもない。
日本の30年前、40年前であるから当然だ。
逆にあらゆる分野にとてつもなくチャンスがある場所だ。
そこへ日本の企業が一気に押しかけているのだが、
今のところは、今までの日本の企業の強みが弱みとなっている。
特に大企業では顕著だ。
もちろん、成熟した日本の大企業のやり方も通用する部分がある。
しかし、これらの企業の海外担当者、とくに現地調査や市場調査を
任されたサラリーマンと関わると実に話が噛み合わない。
まあ、噛み合わない方と話を続けることはあまりないのだが・・・。
今、日本の大企業の中堅社員といえば、ビジネスの経験が20年前後
に達しているだろう。
または、30年くらいか。
彼らが活躍してきた現場は、成熟した日本経済の中だ。
実は変化はほとんどない。
攻めているようで守り一辺倒だ。
イノベーションなどごく一部の企業でしか起こらない。
このような経験のまま東南アジアに乗り込んだ場合、ミスマッチが置きやすい。
失敗学が十数年前に流行ったのは記憶に新しい。
高度成長期が始まったころの企業のアーリーステージから
成長期は失敗だらけであった。
だから、学びも多いし、強靭でしなやかなビジネスの思考と行動が身についた。
ところが、今の企業活動は過去の成功法則にのっとった安全運転が前提となっている。
半永久的にカイゼンが遺伝子そのものであるトヨタのような
イノベーション企業であれば、常に変化適応を前提とした組織活動ができている
だろうし、そういう個人が存在するのだろう。
大企業がモタモタしているうちに、中小企業にチャンスを掴んでもらいたい。
中小企業こそが大企業に勝つ唯一の方法。
それこそが、“リーンスタートアップ”ではないか。
大きな投資などしたくてもできない。
まずはやってみる。
やりながら考える。
だから大きなチャンスに巡り合う。
これはまさしく戦後復興の過程で、中小企業が躍進してきた原動力である。
今の東南アジアでビジネスをすることは、
平均的に考えて日本の数分の一の投資とリスクで挑戦できる。
今の日本の大企業は、狙うマーケットや事業規模が大きいので、
必然的に事前調査やFS調査に時間と費用をかける。
そして、M&Aなどを選択する。
もちろん、こういう戦略は正しい。
だが、中小企業にはとても真似できないし、やる必要はないだろう。
レストランの進出がわかりやすい。
例えば、今のホーチミンを舞台として考えてみよう。
今は第二次飲食業の進出ラッシュだ。
ラッシュといっても、日系だけのものではない。
現地の経営者が日本食を次々と開業している。
必然的に過当競争となる。
私の予測では、近隣のシンガポーやタイと同じ道を進むと思う。
数年後に第三次のブームを迎える。
これで今のタイ(バンコク)のような状態に入り、
10年後ぐらいに今のシンガポールのような最終ステージに入るだろう。
じっくり、市場調査を重ねるのも必要ないとは言わないが、
中小企業の社長が直感で決めて、十分な段階ともいえる。
あるいは、進出国の地方都市でスタートするならば、市場調査など全く必要ない。
そこには、ライバルがほぼいないのだから。
まずは、やってみることが一番重要なのである。
—–