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BRAIN NAVI年末特別号 近藤昇コラム「多様性を強みに転換できる企業へ」

年末特別号 「多様性を強みに転換できる企業へ」

弊社が創業以来、掲げてきたモットーのひとつである『老若男女・多国籍軍』への提唱となる
もし波平が77歳だったら? 」を上梓することができました。創業時に抱いていた想いがようやく
形として結実しました。若者とシニアが入り混じり闊達に意見を交わしながら働く姿を目指して
きましたが、時代がようやくそれを求め始めたということなのでしょう。

同時に、働くための仕組みづくりについても技術の進化により大きな変化が始まっています。
ICTの普及は人々の生活を大きく変えつつあります。固定概念でモノを見つめてばかりいれば
取り残されるばかりです。テレワークはまさにその分野のひとつといえます。「テレワーク=在宅
勤務」というイメージばかりが定着し、いわゆる内職テクニックのひとつに思われる側面があり
ました。しかし、テレワークはこれからの日本人の働き方の根底を変える力を持っています。
今までの固定概念では実現できなかった新しいワークスタイルが登場すると思うとワクワクします。
テレワークという言葉を見ると、どうしても思い出すのが創業期の頃です。神戸の自宅マンション
で他のスタッフと週に1回、集まって打ち合わせをしていました。当時、スタッフとのやり取りは
パソコン通信が主流です。昨今のテレワーク技術の進化には驚かされるばかりです。若者だけ
でなく、これからのシニアもICTというプラットフォームのもとで、さまざまなワークスタイルを確立する
ことができる時代が到来しているのです。

シニアやテレワークというキーワードを毎日のように追いかけていると、実に多様な時代であると
実感します。日本の労働力不足は今後の国家衰亡の鍵を握るほど重要事でしょう。ましてや、
地方都市にいけば、その傾向に拍車がかかります。このことは会社経営に身を置くものならば
理解できるはず。そこにシニアだけでなく、女性、そして外国人など多種多様な陣容で日本
という国を支えていかなければならないのです。テレワークも一昔前と同じようなニュアンスで捉えて
いると企業経営において大きな過ちを犯すのではないかと実感しています。多種多様な人々を
新しいワークスタイルのもと、いかに活躍してもらうのかは、ひとつの企業の存亡だけでなく、前述
したとおり日本の存亡に大きく関わることなのだと、改めて認識を新たにして臨む所存です。

現在、弊社では徳島県のサテライトオフィス型テレワーク実証実験に採択され、同県
吉野川市と那賀郡那賀町にサテライトオフィスを設置し、地元の方々とさまざまな連携を
スタートさせています。また、社内においてもテレワークを活用した在宅勤務者も活躍しており、
今後も積極的に導入を図っていきたいと考えています。

現代は、働く人たちも、そして働き方も大きな変化の過渡期にあるといえるでしょう。シニアも、
女性も、外国人も一緒になり、ICTの仕組みの上で力を思う存分発揮できる環境を整備するのが
これからの企業の役割と確信しています。そして、現代の日本企業の経営課題ともいえる
サイバーセキュリティも海外進出も行き着くところは、多様性をいかに受け入れることができるのか、
ということに尽きると思います。

そのために大切なのは、常に物事を柔軟にとらえることです。日本企業が海外において弱いとされて
いるのは、常に前提論で物事をとらえ、行動できなくなることです。前提は大切にしないといけません
が、必要なのは多様性をいかに受け入れ、企業の強みに変えることができるかという視点です。
シニアも、テレワークも、サイバーセキュリティも、そして海外進出も、すべてが多様性の中のひとつで
あると考えれば、中小企業こそその恩恵を最大限に享受できるのではないでしょうか。

2016年は、この点を皆さんと一緒に考え、行動していきたいと考えています。