先行き不安が先行し、日本人の誰もが元気を失ってしまったように思う。
『それは言いすぎだ』と思われる人もいるだろう。
しかし、日常の大半を東南アジアですごしている私には、
日本の外と比較してそう思う。
今、日本の若者は内こもりとよく言われる。
実際、少ながらず若者との接点もある中で、
私も同意せざるを得ない実態がある。
就職といえば、相変わらずの大企業志向。
たった数年までは不沈艦と思われたパナソニックやシャープすら
存亡の危機に直面している。
これらの企業に大きな問題があったのでなく、日本という国そのものが、
世界の中でその存在を問われている。
いや、試されている時代に突入したのだ。
こんな時代に安定志向でどうするのか。
私も10年以上前から、若者の安定志向に警鐘を鳴らしてきたし、
若者に話をする機会があるたびに、またはセミナーや講義の場でも伝えてきた。
2013年がもうすぐ始まるにあたり、
本当の意味での日本の正念場を迎える今、どうしても日本の若者に
伝えたいことがある。それは、「アジアでインターン体験を!」だ。
声を大にして言いたい。
できれば事業化するほうが良いに決まっている。
正直、このテーマは当社のビジネスにおいて収益性が高いわけでなく、
まして事業として成立するようなパイもない。
10年も先になれば別だが、少なくともこの数年、日本の若者がにわかに
アジアに目を向けるとは思えない。
だが、少しずつでも、現地にいると変化の兆しを感じるのだ。
先日も、ホーチミンでは日本人客が特に多い5つ星ホテルで
インターンする学生に出会った。
聞けば、地方の有名国立大学の学生だ。
凛とした立ち姿や上品な話し方から、
きっと日本人でも彼女が学生であるとは思わないだろう。
まして、ここはベトナムだ。
そのサービスレベルは日本に比べると相当なギャップがある。
彼女は間違いなく、このギャップの中で相当な学びがあるだろう。
苦労するだろうし、悩むこともあるかもしれない。
でも、こういうチャレンジをする若者に純粋にエールを送りたい。
実際、当社でも、この数年間、ベトナム現地で沢山のインターンを
受けて入れてきた。
ITの仕事もあれば編集の仕事もある。
その中でも当社自慢のインターンの役割は日本のビジネステキストを
販売する活動だ。
このテキストは、ベトナム語で現地の書店においても流通している。
当社が、ベトナム人にビジネス教育をするためにテキストとして
制作・発売しているものだ。
何人もトライしたが、典型的なパターンはこんな感じだ。
ベトナム語は、まったくわからない状態。
英語は多少使えるにしても日本の学習英語、たかが知れている。
外国人と話したこともない。
当然、ブロークンになる。
こんな学生に対する1週間から2週間のインターンのテーマは、
ベトナム企業を訪問し、テキストを紹介し、興味を持ってもらうことだ。
実際、注文が入り1週間で100冊ぐらいの販売につなげるつわものも現れる。
とはいえ、ベトナム価格なので1冊あたり200円程度。
日本では某R社のやり方は有名だ。
新人研修でいきなりボールペンを売り歩くのは序の口。
1日、テレアポは500件。
こんなことが、今でも社会人の入り口で行われる会社もある。
これと似たようなことを、ベトナムで体験したらどうだろうか?
日本で経験するよりも何倍も、いや10倍以上の体験になるだろう。
若いときのほうが、感受性も高いし、吸収も速い。
1度、日本のビジネス社会に毒されてしまうと、固定観念が染みつく。
まっさらなときに、東南アジアでの労働を体験する。
こんな絶好の機会はないのである。
当社では、ジャパンスタイルショップや焼肉レストランの開店など、
今後、サービス業の業態も増えていく。
できれば、私達は学生のインターンやアルバイトを活用して店の現場を
運営したいと思っている。
もちろん、ジャパンスタイルというテーマは、日本のおもてなしの実現も
ひとつの目標にしている。
こういう日本が誇れるものをインターンとして、ベトナム人に伝える。
ワクワクしないだろうか?
恵まれた温室の日本にはない環境こそが人を育てる。
良くも悪くもそこはアウェーなのだ。
若い頃の体験は、必ず将来の自分のためになり、そして日本のためにもなる。
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