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本当のTIVは体験しないとわからない

11月30日、当社の主要事業のジャパンスタイルセンターがオープンした。

 

http://www.facebook.com/japanstylecenter
http://www.bwg.co.jp/

オープンしたといっても、当初の計画通りに進んだわけではない。
スケジュールはとんでもない遅延の連続。
オープン時のお店としてのデキは、当初目標の60%にも満たない状況。
数多くのトラブルが発生した中、日本人として良くやったとのお褒めの言葉は沢山頂いたが・・・私達には忸怩たる想いがある。

ベトナムでは、納期厳守や品質確保を日本並みに期待することは難しい。
昔より進歩しつつあるとはいえ、中国やタイなどでも似たようなものだろう。
以前、タイの建設工事のやり方で、タイ人の特徴としてこんな話を聞いたことがある。
“日本は突貫工事に弱い”
だから、スケジュールを必要以上にきっちり守ろうとする、融通が利かない・・・と。
我々は違う。能力があるから、納期直前できっちり仕上げる・・・。
今回のセンターのオープンで、つくづくこの話の真の意味を実感した。
ベトナム人もタイ人も私達日本人とは、仕上げる意味が全く異なるのである。

 

11月30日のオープンを控え、クレセントモール全体を見てまわっていた時のことだ。
運搬車の出入り口の柱のモルタルを塗り始めたのだ。
そして、驚くことに次の日には白く色が塗られていた。
常識的に考えて、強度などの観点から一定期間の養生が必要だ。
だが、表面上は綺麗に出来ている。これでOKの世界なのだ。
当社の店も遅れに遅れてスーパー突貫工事となった。
そもそも、オープンの10日前にメインの施工業者が、
一部完成することが出来ない、勘弁してくれと言い出した。
急遽、別の業者を手配する羽目に。
悪いことが重なって、商品陳列は前日の深夜から。
そんな中、店の入り口の大きな扉が完成?したのは、
オープニングセレモニー開始の僅か5時間前だ。

さらにもっとひどい事が発覚した。
無事にお披露目も終わり、沢山のお客様も多く来ていただいた。
店を閉めようとしたら、扉の鍵が存在しなかったのだ。
これにはあきれてものが言えなかった。
一事が万事、この有様だ。

納期遅れ、運搬中に破壊した家具屋の問題。
設備関係の商品の配達遅延、設置のトラブル。
最悪なのは、夜を徹しての準備作業の際、空調が動作しないことが発覚。
業者が床を拭くシンナー臭と立ち込める埃の中、
ひたすら我慢を強いられ、むせる中、黙々と作業するしかなかった。
オープンの直前には、何とか空調も動き出したが、空気は白く濁ったままだった。
まるで、もやがかかったようだったのである。

 

とんでもないことはまだ終わらない。
内覧を始めて、しばらくして突然停電したのである。
すったもんだの挙句、原因はわかったが、
現時点で、誰のせいか、オーナーとビルの施工業者と
内装業者の責任のなすりつけあいが繰り広げられている。

小さいトラブルを含めると100はくだらないだろう。
事前にベトナム人の友人に忠告されていた。
近藤さんもベトナム長いし、色々とベトナムのこと知っていると思うけど、
この国はお客様ではなく“売り様”ですよ、と。
わかってはいたが、ここまでとは・・・。
ベトナム13年、中国を皮切りにアジア20年の私達も、想定外のことの連発だった。

こんな話を、オープニングセレモニーに来てくれた
韓国人の友人社長に話したら、近藤さん、それは「TIV」だよと。
何それ?

「『This is Vietnam』じゃない。知っているでしょ」と笑いながら。
ふと、思い出した。
ベトナムに来だしたころ、そんな話で盛り上がっていたことを。
長年のベトナム経験ですっかり、慣れた気になってしまい、
“TIV”がどこかに飛んでしまっていたのだ。
ベトナムをわかった気になっていたのである。
やっぱり、聞くことと体験することでは全然違う。
また、体験といっても普通の体験ではダメだ。
土壇場での体験でないと本当のベトナムは見えてこない。
土壇場で彼らの本性、本音が出てくる。
そして、そこで諦めたら終わりだ。

そういう意味では、私達も修行が足らんと痛感した。
特に、顧客に責任ある立場、プロジェクトで何かしようとすると、
TIVと日本人顧客との板ばさみで大変なことになる。
それと忘れてはならないのが、
逆の立場で考えておく必要があることだ。
ベトナム人から見たら、“TIJ”だし“TIK”なのだ。
お互いが努力して理解しようとして、
初めてお互いの関係が改善に向かう第一歩と考える。
最近、ベトナム進出ラッシュの中、
にわかベトナム通が増えてきたと感じている。
本気で進出に取り組む方は、“TIJ”にも注意が必要であることを再認識されると良いだろう。

 

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