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アジアでもう一花咲かせませんか?

先日、60代前半の創業社長とベトナムで、
酒を飲みながらベトナムやメコンエリアのビジネスについて熱く語り合った。
場所は、ホーチミン内の発展著しい新興タウンの1つ、フーミーフン。
1区の市街地からは、車で15分程度の場所だ。
行きつけのそのレストランは、有名なベトナム料理屋だ。
窓の外は、まるで先進国かと錯覚するような美しい風景が広がっている。
ライトアップやイルミネーションも、ベトナムとしては先進的で、
今やホーチミンの若者のデートスポットとしても人気が急上昇中である。

 

フーミーフンは、昨年ビジネス雑誌『東洋経済』が東南アジア特集記事の中で、
”東洋のビバリーヒルズ”と表現したエリアである。
流石にビバリーヒルズとは言いすぎかと正直私は思うが、
確かに、今までのベトナムと相対的に比較すれば、
この記事もあながち変でもないと思える。
中間所得層の平均的なベトナムの若者から見たら、
既に憧れの、一番行きたい美しい場所なのだ。
周囲の景色や壁面の写真を背景に
写真を撮る人が入れかわり立ちかわり。
生まれたばかりのこの場所は、
若者や若い家族をどんどん惹きつけながら、毎日のように様変わりしていく。
それにつられ外国人観光客も目につくようになってきた。
既に、ホーチミンが観光客誘致で
堂々と自慢できる観光名所にもなってきたのだ。

 

最近は特に、ビジネスチャンスを模索するため
ベトナムを視察に訪れる経営者が激増している。
その彼らも必ずと言ってよいほどこの場所に足を運ぶようになってきた。
何かが見つかる。ビジネスのチャンスが掴める場所になっているのである。
今までのベトナムの1区とその周辺。
これからのベトナムのフーミーフンエリア。
この二つを対比で考えてこそ、ベトナムの今とこれからが見える。

僅か3年前まではここは沼地だったんですよ。
と、日本からお客さんを招くたびに説明する。
私と同世代かそれ以上の方々は皆一様に目を輝かせながら、
驚きと懐かしさが入り混じったような反応をされる。
昔を想い出し、そうだよね。昔の日本もこんな感じだったよね
と嬉しそうに相槌を打たれる。
経済成長期に差し掛かった頃のかつての日本は、
毎日ワクワクする刺激的な空気に包まれていたに違いない。
次から次へと新しく誕生する街、
そこには見たことも無いような新築の建物、商業施設、アミューズメント施設など。
そういう変化に心躍らす若者がいて、
ビジネスで成功してやろうと意気込む起業家が活躍し。
明日が今日よりも必ず良くなる事を期待しながら、
目を輝かせて過ごしていただろう。

 

昔の日本とアジアの発展のプロセスは違うが、
新しいものが生まれ、日々進化している環境に身をおくと、
殆どの人は刺激を受けるし心が躍る。
成熟期を迎え、衰退が始まったかもしれない今の日本では、
感じられない空気、活気、可能性が瞬時に肌感覚で伝わるのである。
何かやってやろう。チャレンジしてみよう。
こういう気持ちが芽生えるのは自然なのだ。

しかし残念ながら今の日本の若者にとってはそうでもない。
自分達が生まれ育った先進国の日本に比べて
発展の遅れた場所がそんなに魅力的には映らない。
日本の今と比べるから、どうしてもレベルが低い、
遅れてる、不便、生活するのも大変そう。
こんな視点から考察が始まる。自然とネガティブな思考回路が働く。
メディアを通してだけだと更にその思いが増長される。
そして、アジアでのビジネスは大変だ。
やっぱりしばらくは日本で働こう、日本の中にいようとなる。

一方、私と同世代かそれ以上の方々の反応は全く逆だ。
今まで悶々と先行き不安先行で生活していた人が、がらっと瞬時に変わる。
もう一花咲かせたいと思うのである。

こんな方々は、日本でいる時は、こんなパターンかもしれない。
昔は、俺も輝いていたよな。国も街も至る所全部に活気があったよな。
でもな。今の日本ではとっくに、自分はとうが立ってしまったし。
出番も無いし。このまま第一線からフェードアウトだろうな。
こんな感じのシニア族だらけだと思う。

こういう世代が、もう一度花を咲かせる事が出来る場所がアジアなのだ。
尊敬する日本、技術力、ノウハウを保有する日本から学びたい。
しかも、日本を創ってきたプロから学びたい。
こういう声は日増しに高まっており、ベトナムなどでは特にその想いが強い。
今何も行動を起こさなければ、
残念ながらこういうノウハウの塊を持った人たちは、
後10年もすれば、第一線から完全に離れていく。
そういう意味で日本としても時間はそう残っていない。
実は、日本がもう一花咲かせるチャンスは今しかないのだ。

こんな話で盛り上がりながら、
先輩経営者とがっちり握手をして、これからの活動を誓い合った。
そんな私は、まだ一度も花を咲かせていないと思っている。
そういう意味では、これからの20年で二回花を咲かせようと決意を新たにした次第である。

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