それは、”日本の経営環境は激動期に差し掛かっている”ということである。
日本企業の多くは、縮小するマーケットの中で埋没しないために
過剰な付加価値経営を余儀なくされている。
さらに、世界一要求が厳しいといわれる日本人顧客の対応のため、
行き過ぎたサービス合戦を繰り広げている。
激動する経営環境の中でもとりわけ深刻なのが人材の問題だろう。
少子高齢化社会の到来で労働人口が減少していることに加え、
若者の労働意欲や質の低下が叫ばれて久しい。
モノがあふれる成熟社会で甘やかされて育てられたいまの若者には、
仕事に果敢にチャレンジするハングリー精神や忍耐力が欠如しているといわれる。
加えて3K職場を敬遠し、少しでもラクして働ける仕事を求めようとする。
理工系離れも深刻で、華やかでカッコいい職場を夢見る学生が増えているという。
長引く不況に身を置いてきた学生は大企業志向に拍車がかかり、
中小企業が学生を採用するのは以前にも増して厳しくなる一方である。
日本の中だけの問題ではない。
グローバル化の進展で世界中の優秀な人材が国境を超え、
世界中で活躍を始めている。とりわけアジアの台頭は目覚しい。
アジアが世界経済を牽引すべく成長を続け、
優秀なアジアの学生が日本に活躍の場を求めている。
すでにご承知のように、IT業界に関しては、
インドや中国などの優秀な学生がITエンジニアとして活躍し、
日本は大きく水をあけられてしまった。
成熟社会を迎えた日本はいま、アジアと一体となって成長を目指す時期に来ている。
こうした時代に、日本という小さな枠の中だけで、
日本人だけのことを考えるのはナンセンスである。
日本の未来を考えたとき、中小企業こそがハングリー精神旺盛なアジア人材を
積極的に活用すべき時代なのである。
とはいえ、今日明日にいきなりアジア人材を活用しようとしても無理があるだろう。
すぐにいい人材に巡り会えば幸運である。
しかし、実際にはそれほど簡単なことではない。
だからこそ中小企業の経営者には3年先、5年先の日本の未来像を俯瞰し、
いまからアジア人材の活用の準備をしていただきたいのである。
アジア人材を活用するため、いま何を準備すればいいのか。
具体的にどのようなアプローチを行えばいいのか。
今週は主に中小企業に向け、アジア人材を活用する上での論点を浮き彫りにし、
日本とアジアが一体となって成長を目指す
この時代に相応しいアジア人材活用の提案をしていきたい。
アジアビジネスの第一歩はアジア人材の受け入れから始まる。
アジアに関わり約20年。試行錯誤しながらも、
先駆者としてアジアビジネスの世界を突き走ってきた。
今週は連載で、これらの経験から得たアジア人材活用のポイントをまとめ、
お伝えしていきたい。
明日のテーマは、アジアの若者たちの昨今の動向だ。
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