上梓させていただいた。
日本国内の高齢化社会が急速に進行する中で、
総じていえばシニアの大半は元気を失っているように映る。
メディアや人の噂はどちらかというと心配や不安が増長される。
ネガティブな話が多いからだ。
ところが、当社のビジネス活動の主戦場であるアジアや地方には、
実は驚くほど元気なシニアも数多く活躍している。
心配や不安ではなく、『希望』を実感できる方々ばかりだ。本書の執筆開始からすでに半年が過ぎたが、
この本をきっかけに多くの出会いを頂いた。
すでに、本を読んでいただいたことがきっかけで、
新たな出会いも生まれ、人の紹介も絶えない。
本でビジネスを創造するビジネスを支援している当社は率先垂範を
モットーにしている。
今回の書籍は当社が掲げるアドバルーンでもある。
できるだけ多くの方の眼にとまり、
さまざまなことを感じていただきたいと思っている。
それが、自然と“なにか”につながっていく。
コンテンツを生み出すことは、
子供の頃に眺めていた縁日の綿菓子屋のようである。
最初はなにもない棒を綿菓子機の中に入れると、
みるみるうちに大きな大きな綿菓子ができあがってくる。
子供の頃は、驚きながらその光景を眺めていた。
コンテンツもあの綿菓子のように大きく広がっていくものだと実感する。
シニアの方と飲みながら話していると無尽蔵にコンテンツのネタが
溢れ出てくる。
数多くの生きる知恵やシニアビジネスの知恵に驚きを隠しきれない。
どれをとっても、ワクワクする話ばかり。
いつしか私は完全に聞き役にまわっている。
これがとても心地よい。
本書にも記載したが、やはりシニアの知恵を
宝の持ち腐れにしてはいけないと、痛切に思う。
日本の財産でもある。
先行き不透明で視界不良の日本における、
新たなる国造りの羅針盤になるのは間違いない。
シニアの知恵こそダイヤの原石である。
これが実感だ。
間違いなく、これからの日本が進む新たなビジネスの世界でも、
再び輝かしい貢献ができるシニアの方々は数多くいるだろう。
しかし、引退を余儀なくされるシニアの世界は現実にある。
引退のイメージとしてプロ野球選手を挙げる。
新旧交代の中で、潔く退く選手たちがほとんどである。
一方、元中日ドラゴンズの山本投手のような人もいる。
本当に、まだまだ“やれる人”が辞めていく。
選手枠が限られている世界だから仕方がないが。
ビジネスに置き換えるとこれも同じ道理となる。
マーケットが一定枠なのだから、どうしても定員がある。
シニアビジネスの世界は特定の限られたプロの世界とは違う。
ベースはサラリーマン社会になる。
マーケットが拡大すればいくらでも活躍の場はできる。
実際、今のビジネスでも、大企業などは新旧交代や新陳代謝などという
ありきたりの表現を使い、若い世代を使おうとする。
本音は人件費の削減であることを包み隠しながら。
なんとも寂しい話である。
これからはシンプルに考えればよいと思う。
日本はこれからどういう国になるのか?
今までのような工業化を中心とした経済発展は世界の潮流を見ても、
日本の役割ではない。
先進国主導で世界規模で地球を傷つけるようなビジネスが横行している。
先進国である日本の役割は、
世界に先駆けて「地球を守るビジネス」に取り組むべきなのである。
シニアの経験やノウハウは、
これからの日本や世界が必要としている要素ばかりだ。
シニアこそ、ビジネスの主役となる時代が到来していると実感している。
少なくとも、これからの20~30年先の国内を考えても、
シニアが快適かつ安心して暮らせる社会を創らなければならない。
そのためには、行政の舵取りも重要だが、シニアが主役の経済が
新たに生まれる必要がある。
そして、シニアが活躍の場としてアジアを見据えることである。
アジアには日本のシニアの経験とノウハウを求めるニーズは山ほどあるが、
そのニーズが日本のシニアの方々に届いていない。
それは仕方がない。
日本の企業がアジアに注目し始めて、まだ数年しか経っていない。
要するに、機会を知らないのだ。
過去の常識の上で作られた社会の仕組みの中で
現役を退いた人が何人いるだろうか。
この方々たちのスキルは全く陳腐化していない。
むしろ、激動の時代に突入し、
とりわけ新興国などが主役の時代である。
シニアの経験や知恵やノウハウが生きてくるのは明白である。
一刻も早く、日本はこれに気づき、
社会やビジネスの仕組みに組み込まなければならない。
温室育ちの今の若者に日本や世界の未来を託すことは、現時点では難しい。
若者を大事にするということは甘やかすことではない。
近い将来訪れるであろう、大混乱期において
自立できるように育てていくことである。
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