ビジネスでは「トップ・マネジメント」の役員を、
「Chief … Officer」と呼び、頭文字をとって
横文字の3文字で表すことが非常に多い。
その中でも、CEO(最高経営責任者)やCOO(最高執行責任者)、
CFO(最高財務責任者)は、ずいぶん浸透してきたようだ。
そして、これからの時代はCIO(Chief InformationOfficer・最高情報責任者)
が鍵を握る。いまや大企業であれば、ほぼ間違いなくCIOが任命されている。
企業内の情報戦略の責任者である役員や執行役員が担う。
情報戦略の実践に必要不可欠なものが、ICT であり、そのICTの
最高責任者ともいえる。
一方、省庁、自治体、独立行政法人もCIOが任命されている。
各府省にCIOが存在するし、地方公共団体にもCIOが存在する。
さらに、国民に開かれた電子政府・電子自治体を実現するために、
政府CIOも設置されている。
当社は、官公庁において業務やシステムの分析・評価、最適化計画の
策定などの支援・助言を行うCIO補佐官業務をずいぶん行っている。
では、中小企業はどうか。
残念ながら、CIOを任命している企業は非常に少ない。
その理由のほとんどがCIOの必要性を感じない、もしくはICTの
ことがわかる経営者がいないからだ。
結果、ICT活用の最終責任者が誰なのかを曖昧にし続けてきた。
高いコストをかけてICTを導入し、活用しきれず動かない
コンピュータ化したとしても責任者は不在なのである。
しかし、これまでにも説明しているように、激変し続ける経営環境のもと、
どのような企業経営を目指すか。
ICTを活用すれば、会社の経営スタイルを変えることができるし、
海外とのビジネスも可能だ。コストは当たり前に削減できる。
「IoT」により、インターネット上でIT関連機器以外の
さまざまなモノとの接続も行われる。
これにより産業の構造変革も進むだろう。こういったことを理解した上で、
経営戦略を立案し、会社が向かうべき方向性を指し示すことの重要性を
理解していただきたい。
CIOは、ICTの専門技術や知識を知っている必要はない。
それよりも、これからの企業経営にICTをどう生かしていくか、
その方針を決め、実行へのナビゲートをすることが重要である。
そのためには、世の中の環境変化やICTによるビジネスモデルを
理解している外部ITアドバイザーから指南を受けるのもひとつの手であろう。
その一方で、自動車の保守点検や修理時に、みずから修理する人はそうそういない。
このことと同じように、ネットワーク、PCなどのICTインフラ周辺については
専門の保守サービス会社にアウトソースする。
この整理と切り分けが今後、大変重要になると考えている。
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(近藤 昇 著 2015年9月30日発刊
『ICTとアナログ力を駆使して中小企業を変革する』
第4章 今どきのICT活用の実際-あらためてこれから必要なCIOの役割 より転載)