いまやICTは生活でも日常的に使われている。
インターネットによる情報検索は生活する上で当たり前に行われている。
料理のレシピが知りたければクックパッドで検索する。
家庭内の電化製品を制御し、省電力化するスマートホームでは、
外出先でスマートフォンを使って自宅の家電の電源ON・OFFも可能だ。
自動車の自動運転の実用化は進みつつあり、交通安全への期待は高まる。
また、直接対面せずに通信技術を用いて、診断や診療などの医療や
在宅健康管理が行われる遠隔医療は、地方の過疎化や
高齢化社会において注目されている。
ICTの広がりにより、働き方を大きく変化することも可能だ。
その典型が、テレワークの実現である。
これまでの勤務はオフィスに出社することが前提であった。
しかし、ICTを活用して自宅で働くことが可能な時代が到来している。
当社は設立当初、在宅勤務を行っていた。
テレワークの世界は、まさしく当時当社が目指していた勤務スタイルである。
テレワークは、通勤にかかるストレスがない。その分、自宅で業務に集中できる。
そのため、生産性が高まり、質の高い業務ができるようになる。
また、結婚、出産により、小さな子供を抱え、働きたいが働きに
でることが困難な女性、親の介護により仕事を辞めざるをえなくなった人たちも、
自宅で仕事ができる可能性が広がる。少子高齢化により、労働人口減少という
深刻な事態を迎えている今、女性の活用は大変重要なテーマだと私は考えている。
テレワークならば、ワークライフバランスを優先した
働き方を実現することができるだろう。
また、地方が抱える過疎化の問題もテレワークで解決できるだろう。
都会に本社がある企業でも、北海道や新潟県など全国を対象に
社員を募集することもできる。全国を対象に募集するのだから、
それだけ優秀な人材と巡りあう可能性が広がる。
テレワークが可能な人材に業務を委託するのではなく、社員として雇用し、
テレワークで勤務してもらうのだ。
製造業、建設業の現場、営業で人と会うといったことをのぞき、
オフィスワークに関することは、ほぼすべてテレワークに移行できる。
例えば、秘書はどうなるのか?
すでに述べているオンライン通訳同様、オンライン秘書に移行するのである。
では、オフィスに席があることに安穏としていた
中間管理職という職業はどうなるのか?
オフィスに出社してもマネジメントするべき人はいないし、
テレワークをしようにも自宅で何もすることがない。
この職業こそ、消えていく運命をたどるのではないか。
オックスフォード大学認定の面白い調査結果が発表されている。
「あと10年で消える職業、なくなる仕事」についてだ。
それによると、定型的なものや判断を要しないもの、
定量的な判断はICTにより代替できるとある。
一例をあげると、銀行の融資担当、不動産ブローカー、
飲食店の案内係、保険の審査担当などだ。
皆さんの仕事も改めて振り返ってもらいたい。
果たして、ICTに取って代わられない仕事をしているだろうか?
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(近藤 昇 著 2015年9月30日発刊
『ICTとアナログ力を駆使して中小企業を変革する』
第3章 パソコンもオフィスも不要な時代-生活が変わる、働き方が変わる、職業が消える より転載)