• ビジネスナビゲーター

海外勤務希望者は、減る一方。この流れを変えなければ!

先週、某大手流通会社の執行役員をしている知人との食事で、

今の若者気質や行動パターンについて、意見交換をした。

大企業のビジネスパーソンの体験や視点は私にも新鮮だ。

今の若者の安全志向の発想を改めて実感でき、良い飲み会だった。知人は都銀出身。

統廃合を繰り返し、十数銀行あった都市銀行が今や数行に激減。

メガバンクである三菱東京UFJ、三井住友、みずほの3行に淘汰された形だ。

この十数年で限界数まで減少してきた現実すら今の若者は知らないだろう。

かく言う私も、銀行の世界とは全く別世界でビジネス社会を過ごしてきたので、

昔の銀行事情には私も興味津々、新鮮な話だ。

私と知人はほぼ同年代。

彼が入行した頃は20年以上前のバブル経済期の頃。

彼曰く、海外勤務は高嶺の花。

新入社員の約6割が海外勤務を希望し、狭き門を目指して、

競い合っていたもの、と懐かしそうに話す。

そんなビジネス戦士としての戦いの真っ只中で、

社会人の初期を過ごした知人も今の若者気質を嘆く。
最近こんなことがあったらしい。

部下で、アジア勤務も板についてきて、さて、これからいよいよという時期に、

日本に帰りたいと言い出した。

聞けば、彼女と一緒に暮らすためだという。

昔なら、彼女も説得し、仕事も続けていただろう。

そんなビジネス戦士がゴロゴロいたと、熱く語っていた。

アジアでビジネスをするのが当たり前の時代が目前に迫っている。

大中小、ベンチャー企業と規模、業種業態に関係なく、

この動きはますますエスカレートしていくだろう。

今の何十倍もアジアで働く日本人が必要となる時代だ。

昔は、商社、銀行、現地生産の製造業などごく限られた企業だけに、

海外勤務の機会があっただろうが、これからは違う。

「日本で働くこと=アジアで働くこと」となる時代がもうそこまで来ている。

そんな激変するビシネス環境を今の若者は一体どう捉えているのだろうか?

常に私の頭から離れることのない最大の関心事のひとつである。

会社の経営者という立場を離れたとしても、

若者には積極的にアジアや世界に出て欲しいと思う。

しかし、現実に目を向けると私の思いとは裏腹に身近に接する学生達の印象は、

ますます安全志向、内向き志向が増大している感がしている。

私の知人との話もそれを増長させる話であった。

アジアといっても色々な場所がある。

東京にハードだけは近づいて見える上海。

日本人街として、既に定着しているバンコク、

日本の30~40年前を彷彿とさせるホーチミン等々・・・。

挙げだしたらキリがないほど魅力的で刺激的な場所はたくさんある。

内向き志向の若者が増大する一方で、

ごく少数だが、若い頃からパックパッカーで世界を歩き回ったり、

欧米志向が多い中でも、アジアで学ぶ学生も少数だが存在する。

そう、感性豊かな行動力のある若者は少なからずいるのである。

大手商社を数年で退職し、ベトナムの高原でボランティア活動している女性や

貧困のバングラデシュでバッグを製造販売しているようなアグレッシブな女性もいる。

こんな様子を眺めていると両極端な若者が増えつつあると思う。

その一方で、転勤などのなんらかの理由で、

アジアの現地に着任し、刺激的な場所でチャレンジしようにも、

残念ながら、日本にいる家族、しがらみに縛られて、

やっぱり、日本にいようという選択をする人もいる。

まあ、とにもかくにも、
日本社会全体が、
いまだに内弁慶日向ぼっこでは、どうにもならない。

インターンでも起業でもバックパッカーでも、

1人でも多くの若者が日本の外に一歩踏み出して欲しいと強く思う今日この頃である

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