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【第7章】ロボットが生活空間に入ってきた


日本は、世界でも経験したことがない少子高齢化社会につき進んでいる。
とりわけ、高齢化社会に突入すると、労働人口不足、
つまりサービスの担い手が不足することは深刻な問題だ。


この状況の打開策としてあげられていることがふたつある。


ひとつめは、外国人労働者の活用であり、
外国人労働者の労働環境構築に国をあげて取り組んでいる。
もうひとつは、ロボットを開発し、活用することといわれている。
すでに大手製造業では、プログラム可能な自律制御機械と呼ばれる
産業用ロボットが活躍している。
有名なのが、自動車の製造ラインで、溶接、塗装、組み立てに
ロボットが活用されている。
このロボットがより身近なものになりつつあるのだ。


その典型がお掃除ロボットだ。夜中や家を空けている間に、
お掃除ロボットが勝手に掃除をしてくれる。
赤外線を用いた非接触センサー技術により、階段の段差に
落下することなく、部屋の隅々まで掃除をしてくれる。
円盤のような可愛らしい形状から
ロボットをイメージしにくいかもしれないが、立派なロボットだ。
それが家電製品として、爆発的に売れている。


また、長崎県のテーマハウスである「ハウステンボス」では今年、
スマートホテルプロジェクトが発表された。
ハウステンボスは、開園以来18年間赤字続きだったが、
大手旅行会社H・I・Sの創業者の澤田氏が買収し、
事業再生に取り組んでいる。ハウステンボスの澤田社長が発表した
スマートホテルプロジェクトは、荷物を運ぶポーターや清掃、
フロント業務の受付にロボットを配置するというものだ。
全体で7割の業務をロボットが行い、将来的には9割の業務を
ロボットによる自動化をしたいという。
ロボットによる、自動化でコスト削減をはかり、
業務効率を高めることは、企業経営上はプラスかもしれない。


しかし、非日常的な異空間や癒しを求めてリゾート施設に
訪れた客として、受付がロボットだったらどう思うだろうか。
きっと賛否両論であろう。


その他にも、高齢化社会で大きな社会問題になっている介護現場。
介護の担い手不足により、高齢者が高齢者を介護する老老介護も
確実に増えてくるだろう。
その打開策として、介護ロボットの開発が進んでいる。
若者の農業離れも同様だ。就農者の高齢化は深刻な問題で、
日本の食糧事情にも影響をおよぼす。
その農業分野でも、産学官が連携し、農業ロボットの開発や
研究に取り組んでいる。このあたりの詳細は以降でも説明していく。

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(近藤 昇 著 2015年9月30日発刊
ICTとアナログ力を駆使して中小企業を変革する
  第7章 水牛とスマートフォンを知る-ロボットが生活空間に入ってきた より転載)