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【第2章】紙の本は消えてなくなるか


本離れが加速度的に進んでいると言われる。
多くの出版社では、出版部数が伸び悩んでいるし、
街の昔からの書店では本が売れず、廃業にいたるところが後を絶たない。
そういった背景の中、電子書籍が登場する。
AmazonのKindleをはじめ、電子書籍専用端末も数多く市場に投入された。
電子書籍端末を持っている人を見かけることが、今では珍しいことではなくなった。


紙の本の存在価値はますます希薄になり、本が売れなくなる。
紙の本はやがて廃れるのではないかという意見もあるが、私はそうは思わない。
紙の本は、永遠になくならないと考えている。
確かに街の書店は減っているかもしれない。
しかしその一方で、大型書店が増えているし、世の中から書店がなくなるとは思わない。
使い分けの中で、紙の書籍と電子書籍が併存すると考えている。


私は、紙を見たときに使う脳とPCやタブレットの画面を見たときに使う脳は、
異なるものではないかと考えている。
無論、目で見た情報を脳に伝え処理すること自体は同じだ。
しかし、同じ情報でも紙で見るのとモニターなどで見るのとでは、
記憶力や情報に対する理解度が異なるのだ。
紙の方が記憶に残り、深く考察できる。
それは、電子情報よりも紙の方が、五感で感じとる感覚が働くからではないかと考えている。


だから、私は当社内の重要な資料は必ず紙で提出させる。
顧客に提出する企画書や見積書、決裁書などすべてだ。
紙の資料を見ないと最終判断をしない。
ときには、紙の資料上に赤ペンでアンダーラインを引いたり、コメントを入れたりする。
手を動かすことで、脳が活性化していることを実感できるからだ。


私は、日本と海外を頻繁に行き来しており、海外に出かけるときには
書籍を30冊程買い込んででかけることもある。
その度に30冊の書籍を日本と海外を行き来させるのは、重たいし無駄だと思い、
i PadやK indleを利用するようにした。
しかし、それでは結局なかなか読まない。
そもそも読書するだけの時間が持てない上に、移動で疲れているときに、
デジタル機器を操作して読書をするとさらに疲れる。


私も他の経営者と同じように書籍からさまざまなことを考察し、企業経営の参考にする。
そして、顧客への企業支援の参考にするような書籍は必ず購入して手元に置いている。
私自身、日頃からICTのど真ん中で、PC、スマートフォン、タブレットを駆使している。
せめて読書は、アナログで楽しみたいものだ。

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(近藤 昇『ICTとアナログ力を駆使して中小企業を変革する
 第2章 アナログとICTの両立を考える-紙の本は消えてなくなるか より転載)