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【第1章】相変わらず、ITサービス会社の言いなり


中小企業のIT化が盛んに叫ばれた15年ほど前のこと。
中小企業にIT機器やソリューションを販売し大きくなった企業がいくつかある。
問題はこういった企業が中小企業に対して、
どのようなサービスを提供していたのかという点にある。


ITのことがよくわからない経営者に対して、最新のIT技術や
サービスをプレゼンテーションする。導入すると業務効率が向上し、
売上が伸びると夢を見させる。
そして、成功した企業例をいくつも並べ立てる。
このようにして受注を獲得していったのである。
その結果、「日経コンピュータ」(日経BP社)で特集が組まれているような
「動かないコンピュータ」が今も後を絶たない。


他社がうまくいったからといって自社がうまくいくとは限らない。
真似をしただけで、成功できるわけではない。
企業文化は違うし、組織体制も違う。会社の歴史も違えば、
そこで働いている社員の性質やモチベーションも違う。
IT化の前にその会社のアナログ部分の土台形成ができていなければ
意味をなさない。
その会社に適したITの導入をしないとうまくいく筈がない。


顧客満足度経営を実践するのに最適なツールがある、
導入すれば顧客満足度があがります、とITサービス会社は売り込む。
しかし、そのITサービス会社自身が、顧客目線で対応していない。
お客様ではなく、「売り様」なのだ。これでは、中小企業のIT化が
うまくいくはずがない。


さらにひどいのは、ITサービス会社も通信会社も情報提供に
積極的ではない点だ。ITからICT環境への急激な進化とともに、
導入のためのインフラコストは下がっていった。
低価格のサービスが次から次にでてきても、その情報を顧客に提供しないのだ。
その結果、知らずして価格が高いままのサービスを
利用し続けている中小企業も多い。
この点においては、当社も痛い目に遭ったことがあるので後述する。


次から次に出てくる新しいバズワードの裏には、必ずITサービス会社が
これまでのITサービスに少し目先を変えただけのサービスを準備している。
それを引っ提げて、虎視眈々と顧客になりうる企業に狙いを定めているのだ。
だから、そんなバズワードに振り回されることなく、
その言葉の本質は何なのかをきちんと理解し、
その上でどのような対応をするべきかを考えてほしい。

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(近藤 昇『ICTとアナログ力を駆使して中小企業を変革する
 第1章ICTに振りまわされ続ける経営者-相変わらず、ITサービス会社の言いなり より転載)