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ベトナム人から見たミャンマーで見えてくること

ベトナム人から見るとミャンマーの見え方が違う。
先日訪れたミャンマーでそのことを実感した。越日混合の視察チームで、今何かと注目のミャンマーを半年振りに訪れた。
ミャンマーに熱視線を送るのは何も日本人だけではない。
欧米、中国、韓国、台湾などのお馴染みは言うまでもなく、
ベトナムも実は熱い。
今回は、親しい2人のベトナム人社長にも声をかけてみた。
驚いたことに、ふたつ返事で彼らは合流することになった。
加えてシンガポールからも日本人パートナーが合流。
妙に不思議な組み合わせの一行となった。

私と弊社の佐々木以外は、ミャンマーが初めての面々ばかり。
ヤンゴン入りした際の彼らの一挙手一投足に興味津々さが如実に窺える。
今回の当社にとっての最大のミッションは、
現地法人の設立準備とビジネススタートの選定。
ベトナムからミャンマーまで東西ラインを固めて、
メコンエリアでのビジネス基盤を強化するためである。

 

初日のヤンゴンは噂どおり、日本人がやたら目に付いた。
観光客も多いが、明らかにビジネス関係の会話が空港やホテルで聞こえてくる。
気になったことは、ホテルに向かう途中でにかなりの渋滞に遭遇。
聞くところによると、最近の規制緩和でさらに日本の中古車が大量に増え、
渋滞を引き起こしているという。
インドネシアやタイの深刻な渋滞を知っている私としては、
間違った方向に向かわないようにコントロールして欲しいと切に願う。
過度の交通渋滞は無計画な都市開発や
無節操な交通インフラの整備が原因だと考えているし、
それは政府がコントロールできることだと考えている。
折角、将来の発展のポテンシャルが高いのだから、
交通渋滞が足かせにならないようにしてほしいもの。

翌日は知る人ぞ知る数年前に遷都したネピドーへ。
ここはどうしても行っておきたかった都市である。
4日間のタイトな工程の中、この地を何とか頑張ってスケジュールに組み入れた。
ネピドーには、たった一日の滞在であったが、
私たち混合チームは皆一様に驚きと満足感があった。

航空の便がタイミング良い時間になく、陸路でネピドーに向かうことに。
事前情報ではネピドーまでの道のりは、ハイウェイがあるため
比較的快適だと聞いていた。
実際、200マイル(約320キロ)以上ハイウェイが一直線に走っている。

 

ミャンマー全体の経済レベルを相対的に考えても、
交通インフラの出来栄えには正直驚いた。
もちろん、日本のようにきれいに舗装された道路ではない。
しかも、ハイウェイを人や自転車が行き来していたり、
普通に地元の農民たちの生活路の一部になっている。
不思議な光景でもあり、やはり東南アジアだと実感させられる。
ハイウェイをひたすら疾走するトヨタハイエースは1度だけ休憩。
ほぼ中間地点に1ヵ所しかないドライブインで夕食をとる。
出発から約6時間経過した頃にネピドーに到着。
22時頃にホテルへチェックインした。
暗がりでまわりの様子もよく把握できなまま、
旅路の疲れもありこの日は皆おとなしく就寝。

一夜明けて周囲が見えてくると、
私たちのネピドーに対する印象は、ガラッと変わった。
夜遅くの到着時には「本当にここは首都なんだろうか」と疑心暗鬼であったが、
とてつもないスケールの都市ができつつある、と驚きに変わっていた。

 

ネピドーの街全体は、首都移転に伴いホテルや高層ビル、
交通インフラが、急ピッチで建設が進む様子が見てとれた。
いくつか想像を超えることがあったが、そのひとつが幹線道路の充実ぶり。
都市計画の肝だと思うが、
都市の中心を囲うように、日本でいえば環状線が走っている。
片道2車線の道路のレベルは極めて高い。

 

連邦議会が開催される政府機関は、要塞のように巨大で、
大阪城を想起させるような堅牢な造りだ。
そこに繋がる道路は、なんと対向車線含めた片側8車線!
有事に備えているのではと思える巨大さだった。
ゴルフ場も既に5ヵ所がオープンしている。
新しいパゴダ(ミャンマー様式の仏塔)も建設したばかりのもの。
中型の真新しいシヨッピングモールも既に2店が営業中。
モール内の小売店、スーパーマーケットなどいくつか覗いたが、
すでにベトナムのそれとあまり変わらない。
ベースは軍用地だったようだが見かけは田舎町。
ほのぼのとした空気が漂う。
歴史上も国の中心の都市だったわけではないこの場所を
首都にする意味が少しはわかったような気がする。

 

ミャンマー詣では今はほとんどがヤンゴンだろう。
私たちは今回確信できた。
これからは、ネビドーの発展スピードや進化する様子が、
ミャンマーの進化のバロメーターになるのは間違いない。

日本人は、自分の国とその国を比べる。
これはこれで自然の流れ。
ただ、それだけではその国の深層部や現実は見えてこない。
今回、ヤンゴンではベトナムやミャンマーなど世界を舞台に活躍する
ベトナムの国営企業も訪問した。
私の別のベトナム人の友人に紹介してもらった方だ。
すでにミャンマーで14年。
木材、建材などの貿易、今では農業ビジネスを政府と繋がって推進している。
ここのボスが力説されていた。

「誰と組むかが一番重要だ。信頼関係をいかに本気で築くかです」

ベトナム政府もミャンマーの最近の急速な変化に呼応して、
政府の高官レベルで友好関係の構築が急速に進んでいる。
勝手知ったる東南アジア同士で話は速いだろう。
一緒に視察したベトナム人2人はしきりにこう呟く。

「本当にベトナムの15年前にそっくりだ」

人柄のよそそさうなミャンマー人を見て、
ホーチミンも20年前はそうだったのに…と感慨深げに漏らすシーンも。
改めて考えてみたら、日本にとってチャンスというが、
勝手知ったるベトナム人が本気で動き出せば、
ほんの少し前に歩んで来た経験がすべて活かせるベトナムにとっても
相当なアドバンテージがあるだろう。
今回の道中では、そんなことが頭をよぎった。

 
 

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